宇都宮市 雀宮 胃内視鏡 胃カメラ|ファミリークリニックたまい

宇都宮市 内科 消化器内科 ファミリークリニックたまい TEL.028-653-6701
胃内視鏡(胃カメラ)
胃内視鏡(胃カメラ)

検査実績:17,000件以上 患者様の声はこちら

胃内視鏡(胃カメラ)とは?

口あるいは鼻から内視鏡を挿入して、食道・胃・十二指腸の内部を観察します。潰瘍、ポリープ、がん、胃炎(ピロリ菌感染症)などの病気が見つけられます。当院ではハイビジョン・画像強調システム(NBI)を導入しているため、極めて小さな病変でも拾い上げることが可能です。

経鼻内視鏡の紹介

当院では、経口・経鼻両方のカメラで検査を行っています。経鼻内視鏡での検査を希望する方が増えていますが、経口スコープと比べて、より細く、喉に触れることも少ないため吐き気などの苦痛を最小限に抑え、また検査中も会話しながら行うことができるためでしょう。経鼻内視鏡での検査数増多に合わせ、待ち時間短縮のため新たに経鼻内視鏡スコープを導入しています。
経鼻内視鏡のメリット 嘔吐反射が少ない。会話ができる。
経鼻内視鏡のデメリット 経口内視鏡に比べ画質がやや劣るため、検査にやや時間がかかる。
止血処置やポリープ・がんの治療は困難。

検査の流れ

基本的には予約(電話でも可能)で行いますが、必要な場合は随時受け付けます。

<前日>
◎午後9時以降は何も食べないでください。ただし、水・お茶・スポーツドリンクはOKです。
◎ふだん飲まれているお薬はいつも通りにお飲みください。

<当日>
◎朝から食事はできません。水・お茶はコップ2杯以上飲んできてください。 ※従来は、水分も摂らないようにという指示をされたことが多かったと思いますが、実際には、水分を胃の中に入れたほうが、粘液が洗い流されて観察しやすくなりますので、水分は摂っていただいております。

◎心臓、血圧のお薬はいつも通りにお飲みください。糖尿病のお薬は飲まないでください。
血液サラサラのお薬を飲まれている方は、主治医の指示通りにしてください。

前処置:喉または鼻の麻酔を行ないます。
検査:時間は5~10分程度です。詳しく調べるために、色素を撒いたり組織検査を行う場合があります。
検査後:診察室で結果を説明します。組織検査を行った場合は、1週間後に結果を説明します。

◎水分・食事は1時間後からOKです。組織検査を行った場合、食事は2時間後から可能です。
ただし、当日は刺激物(辛い物や味の濃いもの)やコーヒー、アルコールは避けてください。

検査費用

胃内視鏡検査は保険診療ですので、検査費用に大きな差はありませんが、組織検査やポリープ切除等の治療の有無により決まります。
組織検査なしの場合 5,000円~6,000円(初診料など含む 3割負担分)
組織検査ありの場合 8,000円~12,000円(初診料など含む 3割負担分)
ポリープを切除した場合 16,000円~26,000円(初診料など含む 3割負担分)


症例紹介

食道がん①(扁平上皮がん)
食道がん1左 食道がん1右
 通常の観察では、わずかに発赤しているのみです(左図)。NBIという特殊光モードにすることで、コントラストがはっきりします(右図)。
食道がん②(バレット腺がん) 食道がん③(類基底細胞がん)
食道がん2(バレット腺がん) 食道がん2(類基底細胞がん)
バレット上皮という状態から発生した腺がんです。 類基底細胞がんという特殊なタイプのがんでした。粘膜の下を這うように拡がっていました。
食道がん③(扁平上皮がん) 食道がん④(扁平上皮がん)
食道がん③(扁平上皮がん) 食道がん④(扁平上皮がん)
食べ物が胸につかえるという症状がありました。全周性の進行がんです。総合病院を紹介し、放射線療法を行なってがんを小さくしてから手術が行われました。 しばらく前より固形物がつかえる感じがあったそうです。5年前の検診での胃カメラが辛く、なかなか受診に踏み切れなかったとのこと。ほぼ全周性のがんであり、大学病院を紹介しました。
胃がん①
胃の入り口に粘液が付着していたため(①)、これを洗い流したところ、褪色調の平坦な領域が明らかになりました(②)。これをNBIモードにしてみると、周囲との違いがもう少しはっきりします(③)。更に色素を散布すると、発赤調の平坦な腫瘍として認識できます(④)。スコープを引き抜いてきて見下ろすと、病変部はわずかに陥凹しているようです(⑤)。生検でがんが証明されました。粘液に着目して洗い流さないと、見落としたかもしれません。
胃がん②
通常観察ではわずかに発赤しているのみ(左図)ですが、NBIモードにすることで境界がはっきりし、わずかに凹凸していることもわかります(右図)。
胃がん③
胃がん2左 胃がん2右
通常観察では平坦な発赤として認められます(左図)。色素を散布することにより、境界がはっきりしました(右図)。
胃がん④
胃がん3左 胃がん中央 胃がん右
ひだの集中を伴う小さな潰瘍を認めますが(左図)、近接すると集中するひだの辺縁が不整で(中図)、送気して病変部を伸展させると、色素をはじく部分が比較的広く、褪色域(白っぽい部分)を伴っています(右図)。生検で未分化型がんでした。早期がんですが、内視鏡治療はできず、手術となりました。
胃がん⑤
早期がんです。内視鏡治療しました。
胃がん⑥
進行がんです。手術になりました。
胃がん⑦
早期がんで、電気メスでの内視鏡治療(内視鏡的粘膜下層剥離術:ESD)になりました。
胃がん⑧
早期がんです。内視鏡治療(ESD)になりました。 ESD4ヶ月後。再発を認めません。
胃がん⑨(腺腫→がんへの変化)
左:初回。生検で腺腫でした。高齢(86歳)で心不全の合併症があり、治療を希望しませんでした。
中:1年後。やや増大傾向の印象でした。生検で腺腫であり、そのまま経過観察を希望されました。
右:2.5年後。食欲不振にて検査をしたところ、進行がんへと変化しているのが確認されました。外科の先生と相談し、抗癌剤治療が開始されました。
胃がん⑩
進行がんです。手術を頑なに拒否され、外科の先生の指示のもと、3~4ヶ月おきに検査を行いましたが(左→右)、毎回形が変化しています。
胃がん⑪
胃がん術後20年目に、残胃に発生したがんです。貧血の原因精査で胃カメラを施行したところ、進行がんの状態で発見されました。
胃がん⑫
術前の検査で深達度(がんの深さ)は粘膜下層と診断しましたが、筋層近くまで及んでおり、内視鏡治療(ESD)は困難と判断し、手術が施行されました。
胃がん⑬
進行がんです。手術が施行されました。
胃がん⑭
スキルスと呼ばれるタイプのがんです。胃のふくらみが悪くなっています。食後膨満感を主訴に受診されました。外科を紹介し、先に抗がん剤治療を行なってから手術が施行されました。
胃がん⑮
胃の出口付近の早期がんです。特に症状はなく、健診目的で胃カメラを施行しました。 内視鏡的粘膜切除術(EMR)後。 EMR3ヶ月後です。再発を認めません。
胃がん⑯
進行がんです。胃の入り口の近くであったため、胃全摘となりました。
胃腺腫①
大きさ25mmの腺腫(がんの前段階と言えます) 内視鏡治療(EMR)直後。大きいため3分割で切除しました。 EMR7ヶ月後。腫瘍の再発は認めません。
胃腺腫②(経過観察例)
発見時。86才と高齢で、不整脈(心房細動)のため血液をサラサラにする薬を内服しており、何も治療したくないとのことでした。 1年後。少し大きくなっています。 2年後。さらに大きくなっています。他県に住む家族を呼んで相談し、経過観察となりました。
胃腺腫③(経過観察例)
発見時。
平坦な隆起が認められます。生検で腺腫の診断でした。
1.5年後。
やや横長に大きくなってきています。生検で腺腫の診断でした。
5.5年後。
更に大きくなっています。生検で腺腫内がん(早期がん)の診断でした。
胃ポリープ①(過形成性ポリープ)
胃ポリープ①(過形成性ポリープ)上段左 胃ポリープ①(過形成性ポリープ)上段中央 胃ポリープ①(過形成性ポリープ)上段右 H14/H15/H16
(除菌前)↓
胃ポリープ①(過形成性ポリープ)下段左 胃ポリープ①(過形成性ポリープ)下段中央 下段右 H18 除菌

H19/H20/H22
(除菌後)
79歳女性。以前より萎縮性胃炎、胃ポリープの診断で定期的に内視鏡検査を受けていました。胃の出口付近のポリープが徐々に大きくなってゆき(上段左→右)、ご本人と相談し、平成18年(73歳時)にピロリ除菌を行いました。除菌後ポリープはごつごつした感じだったのが丸みを帯びるようになり、徐々に小さくなってゆきました(下段左→右)。
胃ポリープ②(過形成性ポリープ)
胃ポリープ②(過形成性ポリープ)左 胃ポリープ②(過形成性ポリープ)中央 胃ポリープ②(過形成性ポリープ)右 H14/H18/H22
81歳男性。萎縮性胃炎、胃ポリープでフォロー中でしたが、胃の中央付近のポリープが徐々に大きくなってきたことで(左図)除菌の希望があり、平成15年(72歳時)に除菌しました。ポリープは徐々に小さくなってゆき(中図)、7年後の観察では消失していました(右図)。このように、除菌することで過形成性ポリープは小さくなったり消失することが期待できます。過形成性ポリープを放置した場合、将来がん化したり、出血して貧血になることもありますので要注意です。
胃ポリープ(胃底腺ポリープ)
胃ポリープ(胃底腺ポリープ)左 胃ポリープ(胃底腺ポリープ)右
53歳女性。胃の上部に半球状のつるっとしたかんじのポリープを認めます。炎症も萎縮もないピロリ菌陰性の胃粘膜に出来るポリープで、多少大きくなったり、数が増えたりすることはありますが、過形成性ポリープと違って、将来がん化する恐れはありませんので、放置してかまいません。
鳥肌胃炎①(24歳女性)鳥肌胃炎②(15歳男性) 鳥肌胃炎③(16歳女性)
[主訴]鉄欠乏性貧血  [主訴]心窩部痛  [主訴]心窩部痛
[主訴]鉄欠乏性貧血 [主訴]心窩部痛 [主訴]心窩部痛
鳥肌胃炎④(54歳女性)
[主訴]心窩部痛
[主訴]心窩部痛 左 [主訴]心窩部痛 右 ←胃潰瘍瘢痕あり
鳥肌胃炎⑤(52歳女性) 鳥肌胃炎⑥(28歳女性)鳥肌胃炎⑦(37歳女性)
[主訴]心窩部痛 [主訴]心窩部不快感 [主訴]心窩部痛
[主訴]心窩部痛 [主訴]心窩部不快感 [主訴]心窩部痛
①~⑦すべてで、ニワトリの毛をむしり取った後の皮膚のような小さな隆起が胃の前庭部(出口に近いところ)に密集しており、鳥肌胃炎と呼ばれます。ピロリ菌に対する過剰な生体反応が起こっていると考えられ、若い女性に見られることが多く、胃がんになる確率が高いとされます。私が初めて鳥肌胃炎を見たのは大学病院勤務時代で、検診目的で受診した30代女性が早期胃がん(未分化型がん)を併発していました。鳥肌胃炎は前がん状態(特に、未分化型がんと言われる悪性度の高いがんの前段階)といえることから、これまでに60例ほどの鳥肌胃炎を経験していますが、見つけたら即除菌しています。幸いがんの併存は認めていませんが、除菌後も定期的なフォローアップが必要であることを説明しています。胃炎の進んでいない時期、即ち感染後年数の経っていない若いうちに除菌を行えば、胃がん発症のリスクをかなり低くすることができると考えられていますので、中高生くらいで胃の調子が悪い方は、我慢せずに胃カメラを受け、ピロリ菌感染がないか、鳥肌胃炎になっていないかを調べてもらうことをお勧めします。
柿胃石
柿胃石上段左 柿胃石上段中央 柿胃石上段右
柿胃石下段左 柿胃石下段中央 柿胃石下段右
70歳男性。胃切除後,糖尿病で通院中の方です。この方は柿が大好きで、熟柿を3個食べた翌日からみぞおちのつかえがとれず来院しました。胃内に黄色の塊を認め、柿胃石と判断し、サイダーを撒いた後、生検鉗子やスネア鉗子で破砕を試みましたが非常に硬く困難で、一旦処置を終了しました。翌週再検し、今度はペプシコーラを撒いて様子をみました。すると、数十秒後より胃石が変形し崩れていくのが観察できました。生検鉗子・五脚鉗子にて容易に破砕可能となり,約5㎜大に細片化し,検査を終了しました.文献的には、コカコーラで溶解したという報告が殆どですが、ペプシコーラも有用であることが確認されました。コーラ系飲料水が胃石溶解に有用なのは、他の炭酸飲料と比べ酸度や炭酸ガス含有量が高いことに起因するのではないかと思われます。一般に胃切除後の方や糖尿病の方は胃の動きが悪く、胃カメラを行なうと食べ物が胃内に残っていることが少なくありません。そこで私は、検査で胃に食べ物が残っていた場合には、時々は食後にコーラを飲むように勧めています。勿論、糖質フリーのもの(コカコーラゼロ、ペプシネックスなど)です。
胃アニサキス症①
胃アニキサス症1左 胃アニキサス症1右
62歳男性。さんまの刺身を食べてから心窩部痛、吐き気が出現し、翌日胃カメラを施行したところ、アニサキスと思われる虫体が胃壁に突き刺さって動いており、周囲の粘膜はむくんでいました。黒色の円形のびらんも散見されますが、おそらく虫体が何度も突き刺さったか、数匹いたのだと思われます。生検鉗子にて虫体を抜去したところ、まもなく痛みは消失しました。ただし、吐き気、むかつきなどの症状はすぐにはとれないことも多く、通常胃薬と抗アレルギー薬を数日投与します。
なお、この方の背景胃粘膜は正常で、ピロリ菌陰性と思われます。アニサキスとピロリ菌の因果関係はないとされています。
胃アニサキス症②
胃アニキサス症2左 胃アニキサス症2右
64歳女性。旅行先でしめさばを食べた数時間後より心窩部痛が出現し、2日後に胃カメラ施行。アニサキス虫体が迷入し、周囲粘膜は腫大しています。この方は胃カメラの前に胃薬と痛み止めを処方しておりましたが効果がありませんでした。生検鉗子にて虫体を摘出することにより、まもなく症状は消失しました。病歴からアニサキス症を疑ってもすぐに胃カメラが施行できない場合、抗アレルギー薬やステロイドを投与することにより、症状が消失することを報告したドクターがいます。胃カメラで虫体を摘出しなくても、アレルギーを抑えることで症状がとれるという画期的なものでした。私の場合、福島での開業時代、夕食に寿司や刺身などの生食(酢でしめたものも含みます)の後から心窩部痛や吐き気が生じて深夜に受診される方が時々いました。そんな時、緊急で胃カメラというわけにもいかないので、ヨードアレルギーがないのを確認し、ガストログラフィンという水溶性の造影剤をその場で飲ませます。恐らく、成分に含まれる高濃度のヨードが虫体に作用するものと思われますが、翌朝症状がとれず再受診した方は一人もいません。抗アレルギー薬、経口ステロイド薬よりも明らかに効きが早いと実感しています。
食道異物(魚骨による食道穿孔)
食道異物(魚骨による食道穿孔)上段左 食道異物(魚骨による食道穿孔)上段中央 食道異物(魚骨による食道穿孔)上段右
食道異物(魚骨による食道穿孔)下段左    
80歳女性。夕食にカレイの煮付けを食べた直後から喉の痛みが出現し、翌日耳鼻咽喉科、翌々日歯科を受診しましたが原因不明とされ、発症3日後に当院を受診しました。病歴より魚骨誤飲が疑われ、直ちに胃カメラを施行したところ、食道に入ってすぐのところに壁に突き刺さった魚骨を認め、把持鉗子を用いて抜去しました。抜去部位より膿(うみ)が出てくるのが見えました。魚骨の長さは約3cmで,食道壁内に1.5cmほど刺入していました。血液検査、レントゲン、CTを行ない、魚骨による食道穿孔、食道周囲膿瘍と診断し、直ちに入院となりました。幸い手術には至らず、約1か月後に退院できました。
AGML(急性胃粘膜病変)
AGML(急性胃粘膜病変)左 AGML(急性胃粘膜病変)右
36歳女性。職員旅行で痛飲し、翌朝より心窩部激痛、嘔吐が出現しました。
胃の中央付近から出口にかけて、出血性びらんが多発しています。この方の背景胃粘膜には炎症も萎縮もなく、ピロリ菌陰性と考えられました。
AGDML(急性胃十二指腸粘膜病変)
AGDML(急性胃十二指腸粘膜病変)左 AGDML(急性胃十二指腸粘膜病変)右
56歳男性。営業マンで接待が続き、連日のように深夜まで飲食していましたが、心窩部痛、嘔気の訴えで受診しました。出血性びらんが胃の出口付近だけでなく、十二指腸にもみられました。この方の背景胃粘膜も正常で、炎症も萎縮も認めませんでした。ピロリ菌陰性の方は粘膜のバリアーが本来頑丈ですが、アルコールや暴飲暴食、鎮痛剤濫用などの影響で、このような傷が出来てしまうようです。
胃潰瘍①
79歳の女性。心窩部痛・黒色便の訴えで受診しました。胃の中は血液で充満し、胃角部(胃の中央部)に大きな深掘れ型の潰瘍を認め、血管が剥き出しになりチョロチョロと出血していました。クリップを用いて血管を潰し、止血しました。
胃潰瘍②
61歳の男性で、心窩部痛・食欲低下を主訴に来院しました。胃の中に食物残渣と血液の貯留を認めます。胃角部に深掘れ型の潰瘍を認めますが、検査した時点では出血は治まっており、露出した血管も明らかではありません。幽門部(胃の出口)が変形し狭くなっており、潰瘍の痕と思われます。背景胃粘膜に軽度の慢性炎症を認め、ピロリ菌の関与も考えられますが、この方はヘビースモーカーであり且つ齲歯と歯槽膿漏で歯が数本しか残っておらず、複合的な要因で潰瘍を繰り返していると考えられました。単に除菌をするだけでは潰瘍は治癒しない可能性をよく説明し、禁煙と歯科受診を指導しました。
胃潰瘍③(薬剤性;ピロリ菌陰性)
胃潰瘍(薬剤性;ピロリ菌陰性)左 胃潰瘍(薬剤性;ピロリ菌陰性)右 ←炎症も萎縮もない、
正常の胃粘膜
35歳女性。感冒症状で市販の風邪薬を倍量で3日間飲んだところ心窩部激痛が出現し、受診。
胃の出口付近に深い潰瘍を2か所認めます。この方の背景胃粘膜には炎症も萎縮もなく、ピロリ菌陰性と考えられます。胃潰瘍の原因の70%はピロリ菌ですが、25%が解熱鎮痛剤などの薬剤によるものです。
十二指腸潰瘍①(薬剤性;ピロリ菌陰性)
十二指腸潰瘍(薬剤性;ピロリ菌陰性)左 十二指腸潰瘍(薬剤性;ピロリ菌陰性)右 ←炎症も萎縮もない、
正常の胃粘膜
51歳女性。腰痛にて整形外科通院中で、鎮痛剤を飲んでいました。初めは空腹時のみの心窩部痛でしたが、痛みが持続するようになり受診されました。十二指腸の入り口(球部)に大きな潰瘍を認めます。この方も炎症も萎縮もない胃粘膜で、ピロリ菌も陰性でした。
十二指腸潰瘍②
ザラザラした表面 蛇行・腫大したひだ
12歳男児。1か月以上心窩部痛が続き、食欲もなくなってきたとのことで、胃カメラを施行したところ、胃内には慢性活動性胃炎の所見(粘膜表面の光沢がなくザラザラし、ひだが腫れています)を認め、十二指腸球部に潰瘍を認めました。ピロリ菌の除菌および胃薬内服により症状は速やかに消失しました。この児は3人兄弟で他のお子さんに症状は認めていませんが、兄弟とお母さんの感染状況を知っておくことが重要です(そのうち血液検査を希望すると言って、そのままになっています)。
十二指腸潰瘍③
心窩部痛・ふらつき・黒色便の訴えがありました。十二指腸球部の前壁に潰瘍を認め、血管がむき出しになっています(露出血管と言います)。観察中出血が始まったため、クリップ装着による止血を行いました。
胃食道逆流症(逆流性食道炎)
胃食道逆流症(逆流性食道炎)左 胃食道逆流症(逆流性食道炎)中央 胃食道逆流症(逆流性食道炎)右
81歳女性。胸やけ、血性嘔吐の訴えで受診。食道と胃のつなぎ目に全周性の潰瘍を認め、じわじわと出血していました(左図)。食道裂孔ヘルニア(胃と食道の間の筋肉が緩く、胃粘膜が胸腔内に脱出した状態)も高度で(中図)、もともと胃液が逆流しやすい状態でした。この方はTIA(一過性脳虚血発作;脳梗塞の前段階ともいえます)で血液サラサラのお薬(アスピリン)を飲んでいました。背景胃粘膜には炎症も萎縮もなく、ピロリ菌陰性で胃液の酸度が高いことが推察されます。ピロリ菌陰性者で血液サラサラのお薬や鎮痛剤を飲んでいる場合は、胃十二指腸潰瘍だけでなく、胃食道逆流症(逆流性食道炎)の発症に注意が必要です。